2001 Fiscal Year Annual Research Report
19〜20世紀東北日本の前近代型出生・死亡パターンの歴史人口学的研究
Project/Area Number |
12610213
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 正朗 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70118371)
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Keywords | 人数改帳 / 過去帳 / 乳幼児死亡 / 出生 / 飢饉 / 流行病 / 微地形 / 気象 |
Research Abstract |
平成13(2001)年度の「研究実施計画」にそくして記す。 1)資料収集・調査 (1)宮城県登米郡の旧肝入家の人数改帳(約30年分)をマイクロ撮影した。 (2)岩手県水沢市、胆沢町で懐妊婦改帳の所在調査をおこなう。一部をマイクロ撮影した。 (3)岩手県一関市、千厩町内2寺院の長期過去帳をマイクロ撮影した。宮城県登米郡での撮影は不可であった。 2)資料整理・データベース作成と資料批判 (1)岩手県磐井郡内2寺院の長期過去帳を解読、データベースを作成(現在も作業中)。 (2)岩手県磐井郡内4ヶ村について、人別帳と過去帳を併用し、天保飢饉以後約30年間の出生と乳幼児死亡を抽出、第一次データベースを作成(点検未了)。嘉永期の乳幼児死亡の急増が目を引く。 (3)本年度入手した人数改帳の資料整理は研究費不足のためできなかった。 (4)宗門改帳を使用する歴史人口学者が等閑視してきた資料批判を、仙台藩の諸資料を使用しておこなった。その結果、「人数改帳」は定説に反して、人別改帳の系譜に属すると判断してほぼ間違いないことが判明した。 研究地域を磐井郡地方から胆沢郡にまで広げ、また長期間をカヴァーする死亡記録を入手しつつあることから、東北日本に生きた庶民の生死に関する構造的・通時的把握が確実に展望できそうである。高度経済成長までをカヴァーする死亡資料は、前近代型死亡レジームの終息時期を明らかにすると期待される。可能な限りデータを蓄積して、人口現象と流行病、気象、微地形との明確な関連を、確実に抽出したい。
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