2000 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉施設での実習中の事故等を予防するための安全衛生教育プログラム
Project/Area Number |
12610220
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
田口 豊郁 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (30197248)
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Keywords | 安全教育 / 衛生教育 / 労働衛生管理 / ヒヤリ・ハット体験 / 危険予知訓練 |
Research Abstract |
社会福祉現場での実習中には,事故にまで至らないが「ヒヤリ」とか「ハット」する場面が多くあることは容易に想像できる.そこで,実習中の事故を未然に防ぐために,実習教育カリキュラムに安全教育を取り入れる必要があると考えた.本研究では,特別養護老人ホーム等で実習中に学生が体験した事故及びヒヤリ・ハットの内容を明らかにし,これらの結果から,安全教育プログラム作成のための基礎資料を得ることを目的とした. 結果と考察 事故の発生場所は,居室>廊下>食堂>浴室の順であった,事故内容は,転倒+転落で80%を超えていた.ケガの内容は,打撲,骨折,切り傷の順に多く,打撲+骨折で60%を超えていた.ヒヤリ・ハットの発生場所は,居室>食堂>浴室=廊下で,事故同様,居室が最も多く,発生場所の上位4カ所も事故と同様であった. 社会福祉施設では,作業者(職員および実習生)自身の安全確保だけでなく,利用者の安全確保に重点を置く必要があることがわかった.また,職員および実習生の行動によって,利用者が事故にあったり,ヒヤリ・ハットさせられる場面が生じることもわかった.福祉施設での安全教育の重要性が明らかとなった. 安全衛生教育および作業標準作成の必要性 実習生の安全衛生の確保のためには,学校側の実習生に対する教育の責任が大きい.実習の事前学習のカリキュラム中に腰痛予防を含めた安全教育を取り入れる必要がある.一方,実習施設と実習生の間には雇用関係はないが,ある意味では主従関係が成り立つと言える.実習施設側は作業環境の整備や作業標準に基づいた指導を積極的に行う必要がある.そのためには施設側では,安全衛生担当者を選任するなど労働安全衛生管理体制の充実を積極的に行う必要がある.すなわち,(1)学校側の事前教育,(2)実習生自身の事前学習,健康管理,(3)実習生を受け入れる施設の労働安全衛生管理-が重要である.
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