2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610226
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Research Institution | Kinran College |
Principal Investigator |
藤本 信子 金蘭短期大学, 生活科学科・生活経営専攻, 教授 (40209101)
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Keywords | 家族生活 / 職業影響 / 核家族論 |
Research Abstract |
(1)家族生活への職業影響測定尺度の作成に関連する既存の研究成果を収集し、分類・整理した。(1)職業に関しては、職業をもつ人の8割以上を占める給与生活者に対象を絞り、職場環境とくに日本的経営システムの変化とそこで働く人への影響に関する研究成果を集め、データベース化を進めた。(2)家族生活に関しては、わが国の戦後の家族社会学の軌跡をたどり、そのなかで、職業と家族生活の関連をテーマとする研究をリストアップし、データベース化を進めた。(3)尺度作成にかかわる統計関連の専門書および論文を収集した。 (2)既存の研究の理論的検討については、わが国の戦後家族社会学研究の主流をなすとされた多くの家族研究が、最近まで家族を集団として捉え、その内部分析に終始してきたそのことが、社会システム的観点からみると、家族生活分野と職業分野の関係様態の1つであること、そのことによって家族および職業の両分野においてそれぞれ性別役割分業を発達させるに至ったこと、また職業分野でみられた日本的経営システムと深くかかわっていること、などを家族生活への職業影響として理論的に整理し、解明する必要のある論点として指摘できる。さらに、このことが欧米の家族研究との関連でいえば、マードック、パーソンズ、グード、ベルとヴォーゲルらの核家族論の影響を強く受けてのことでありながら、それぞれの核家族論者がそれらの核家族論をどのような社会経済的あるいは西欧社会の歴史的基盤のうえで展開したのかという脈絡を研究したうえで、日本の家族研究へとつないでいく観点を欠いていたことが指摘できる。
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