2002 Fiscal Year Annual Research Report
米国公立学校教員評定システムの法的原理と実際的態様に関する研究
Project/Area Number |
12610251
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
古賀 一博 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (70170214)
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Keywords | 教員人事 / 教員評価 / 勤務評定 / 教育行政 / 米国 / 教育制度 / 優秀教員 / 指導力不足教員 |
Research Abstract |
本年度の研究活動としては、「同僚教員評価システム」の先進的事例としてカリフォルニア州ポーウェイへの現地調査と「優秀教員の表彰制度」に関する文献収集およびその検討を行った。 その結果、前者のカリフォルニア州ポーウェイへの現地調査では、先般(1999年)成立したカリフォルニア州制定法規定に工夫された種々の改良点が反映された現実的制度として精緻化されている実態を看取する事ができた。同時に、そのことは、先行する他州、例えばオハイオ州における事例との比較対照を可能にし、両者の違いが一層明瞭となった。 また、後者の「優秀教員の表彰制度」に関する検討では、特に「教師の日」(Teacher's Day)、「年間最優秀教員表彰制度」(Teacher of the Year)、「キャリアラダーとメリットペイ・システム」、「サバティカルリーブ」等の各制度について検討し、それぞれの特質と意義、さらには課題について考究した。それによると、「教師の日」は米国に限らず、多くの諸外国で実施され、個々の教員の日々の地道な努力に感謝するイベントが実施されていることが判明した。「年間最優秀教員表彰制度」に関しては、米国内における最も典型的かつ組織的表彰制度であり、教育界の各立場を代表する組織が全体としてこれに関与している実態が、さらに「サバティカルリーブ」に関しては、伝統的に大学における同システムであったものが近年公立諸学校にまで導入されつつあることなども明らかとなった。そして、結論として、個々の教員のやる気を喚起し、業務成果を高めるために「我が国においても積極的な導入」を検討すべき時期が来ていること、そのためには、先行するこれら米国の各システムが極めて示唆的である点を指摘することができた。
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