2000 Fiscal Year Annual Research Report
学級社会の危機と女性教師の教育的営為に関する調査研究-三重県小・中学校の事例から-
Project/Area Number |
12610255
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 直美 (蓮尾 直美) 三重大学, 教育学部, 教授 (80117217)
|
Keywords | 学級社会の危機 / 教育的営為 / 教師と生徒の相互行為 / ジェンダー / 女性教師 / 学級社会学 / 教師の生活世界 |
Research Abstract |
平成12年度に実施した、三重県小・中学校教師1800名対象の質問紙調査の結果は、つぎの通りである。 (1)学級社会の危機を直接・間接に経験した有無をみると、小・中学校男性教師のほぼ6割から6割5分が経験ありとするのに対し、同じく女性教師ではほぼ7割5分が経験ありとしており、男女による差異が認められる。また、高い頻度で経験するものは、性別の差異はないが、学校種別では、中学校の教師が小学校の場合より経験の頻度は僅かに高い。 (2)学級社会が危機に陥る要因について、教師の半数強から8割7分のものが、担任教師よりも地域社会や家族の問題に因果関係を帰着させる傾向がみられ、とくに女性教師は、男性教師よりもこの傾向が強い。 (3)要因が複合しているとみなす教師は、全体の1割3分から2割6分を占めるが、彼らの指摘する、複合要因の様態には注目を要する。 (4)地域社会や家族に問題ありとする教師の内、地域社会や両親たちの中に事実として存在する、女性教師に対するジェンダー意識が彼女たちの営為に困難をもたらすとみなすものがいる。 (5)担任教師を主要因とみる教師は、生徒たちの女性教師固有の特性に対して抱くジェンダー意識が学級社会の危機を招く要因と受けとめるものがいる。 (6)要因を複合的に捉える教師の内、女性教師の自己中心的行動を厳しく指摘する男性教師もいるが、総じて、女性教師の置かれた社会的状況に対して共感的理解を示す傾向がある。中には、男女が相互に役割を補完しながら困難な状況を克服する必要を強調するものもいる。
|
Research Products
(1 results)