2000 Fiscal Year Annual Research Report
大学における非伝統的学生のための学習支援に関する実証的研究
Project/Area Number |
12610270
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 源吾 広島大学, 教育学部, 教授 (00178170)
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Keywords | 非伝統的学生 / 学習支援 / 大学成人教育 |
Research Abstract |
「開かれた大学」の役割のひとつに、正課教育の開放がある。大学審議会が「大学制度の弾力化」を打ち出して以来、1990年代にはいると、夜間大学院や昼夜開講制の導入、入学者選抜方法や修了年限の弾力的運用など、社会人ための学習機会の整備がすすめられてきた。その結果、大学院を中心に社会人学生の増加がめざましい。90年代に修士課程では3.4倍、博士課程では37.1倍に増加をみた。にもかかわらず、学習者としてみた場合、社会人学生がいかなる特質を有し、かつ伝統的学生との異同をあきらかにした研究は、我が国にはない。 そこで、本研究の初年度としては、広島大学大学院に学ぶ社会人学生(94名)を取り上げ、(a)学習目的、(b)学習スタイル、(c)授業形態、(d)理想とする教師像、(e)学習スキル、(f)学習阻害要因、(g)自己主導的学習レディネス、等について、伝統的な学生(大学院生109名、学部生266名)との比較研究を行った。 その結果、社会人学生は、学習に明確な動機づけと目的意識をもっていることが明らかになった。とりわけ、「仕事に役立つ知識・技能を身につける」学習を求め、また学習の成果としての「学位、単位、修了証書を取得する」ことを強く意識していた。、さらに学習スキルのみならず学習者としての自己概念においても、伝統的な学生のそれを上まわっていた。しかし、生活者であることとかかわって、学習上、諸種の障害にも直面することが判明した。そのため次年度には、社会人学生の学びに適合した、非伝統的な学習環境の整端という問題に、教師と組織の両面からアプローチする。
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