2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおける異文化間教育政策の展開過程に関する研究
Project/Area Number |
12610275
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉谷 武志 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (60182747)
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Keywords | 異文化間教育 / ヨーロッパの教育 / 欧州審議会 / EUの教育政策 / マイノリティ教育 / 移民の教育 / 異文化間トレランス / 欧州市民教育 |
Research Abstract |
今日、統合化が現実のものとなりつつあるヨーロッパ諸国においては、「ヨーロッパ市民」意識の形成が共通の教育政策課題となっている。本研究は、この課題達成のために追究されている「異文化間教育(intercultural education)」政策の展開についての理論的研究をその課題としている。 最終年度である本年度は、これまでに収集した資料およびインタビューによる知見を整理し、報告書をとりまとめている。 その結果、本年度においては以下のような成果を得た。 1.ヨーロッパにおける異文化間教育政策に関する資料、特に1993年に開催された欧州審議会のウィーン・サミット以降の主要な教育政策である「All Different, All Equal」施策に関連する資料、ヨーロッパにおけるマイノリティ教育関係資料及び異文化間教育研究関連資料を概ね、体系的に収集することができた。 2.具体的には、新しい欧州市民教育育成のための教育である"The European Dimension of Education""Education for Democratic Citizenship"など、近年の動向について基本的な資料を整備し、その動向を明らかにし得た。 3.上記の資料の分析を進めることにより、ヨーロッパにおける異文化間教育政策は理論的な面における追究と共に、各国の諸学校段階及び社会教育分野において、教育実践や青年の異文化間訓練の実施段階に入っていることが明らかになった。 4.以上により、移民の定着、EU各国の国民の移動、旧東欧から帰還者などにより一層「多文化社会化」するヨーロッパにおいて、異文化間教育を共通の目的とし、しかも民主的な市民の育成のための鍵になる概念としての「異文化間トレランス」を実現することが、現今の重要な課題となっていることを確認した。
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