2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610278
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
志村 廣明 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (60141446)
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Keywords | 大正自由教育 / 教室環境構成 |
Research Abstract |
平成13年度は、1920年代に大正自由教育運動をリードした私立学校のうち今日まで命脈を保っている成城学園、明星学園、成蹊学園、和光学園、文化学院等の資料とともに、第二次世界大戦終結前に廃校となった池袋児童の村小学校、芦屋児童の村小学校、自由ケ丘学園等に関する資料の収集に力を尽くした。さらに、大正自由教育・学校建築・教室環境構成に関する図書・論稿の探索を行った。 成城学園、明星学園等における資料を検討すると、学校建築のプラン自体魅力的なものが多く、木造平屋建で、収容する子どもの数からして当時の公立小学校と比べるとゆとりを感じさせるものが多かった。一つの学級に30人収容する教室は、教室環境構成の計画という視点からすると、机の並べ方や椅子の配置、参考書、掲示物への配慮等に関し、教室内の子どもの活動に配慮した教師の創意工夫が生かされていた。 子どもの願いを教室環境構成にどのように反映させようとしたかという点が本研究を進めるうえで一つの重要な視点である。今年度の資料収集を実施したおりにとりわけ注目した点は、本研究で取り上げた学校のなかに教室とは別に子どもの主体的な学習に必要な「研究室」あるいは子どもがくつろぐ「子供室」等の部屋がおかれていた点である。学校には、今日においても子どもたちがくつろぐことができるスペースはほとんどないと思われるが、こうした点からも「研究室」・「子供室」は興味深いと考えられる。 次年度は、これまで収集した資料をもとに報告書を作成して、大正自由教育運動における教室環境構成の実態を出来る限り明らかにしたいと考える。
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