2001 Fiscal Year Annual Research Report
中等職業教育における実習指導とインターンシップの史的発展に関する実証的研究
Project/Area Number |
12610299
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Research Institution | Aichi University Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 享 愛知大学短期大学部, 教授 (10083601)
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Keywords | 実習助手 / 高等学校設置基準 / 実験・実習 / 産業教育手当 / 理科助手 / 実習教員 / 実習教諭 |
Research Abstract |
高等学校職業学科の実験・実習遂行に重要な役割を果たしている実習助手に関する研究は、管見の限り全く知られていない。そこで高等学校の実習助手の制度成立過程と実態を解明した。 1.太田周夫文書などによると、高等学校の実習助手制度は1948年の「高等学校設置基準」の制定過程において、工業学校長らの強い主張が契機となって制度化された。実習助手は当初はもっぱら職業学科に配置すべき職種として構想されたが、文部省内での「高等学校設置基準」の条文整理の段階ですべての学科に配置すべきものとされ、そのうえで職業学科には加配するものとされた。こうした経過からみて、実習助手制度は新制高等学校に固有の職種の一つであるといえる。2.実習助手制度の成立には旧制実業学校の「実習教員」の存在が大きく影響していた。また旧制実業学校には、ある時期から、実習助手の前身ともいうべき「助手」が「雇い」「雇員」などとして配置されており、この「助手」から「実習教員」に昇格する道が開かれていた。3.実習助手制度は「高等学校設置基準」により確立したとはいえ、財政的裏付けに欠けていたため、1960年代までに実際に配置されたのは工業、農業、水産の学科に限られていた。4.これらの学科における実習助手の職務は「産業教育手当」の支給対象とされたことにより明確にされた。5.実習助手の位置づけは、1961年のいわゆる高校標準法により財政的裏付けが与えられて、はじめて制度的に確立した。これ以後、実習助手は商業、家庭科など、工業、農業、水産以外の学科や普通教育の理科にも配置されるようになった。6.職業学科担当の実習助手には1961年の教育職員免許法の改正により実習にかかわる教員免許状取得の道が開かれた。そのために理科助手の位置づけの困難さが浮かび上がっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐々木 享: "教科情報の免許状新設にともなう講習会と教職員組合運動"愛知大学文学会文学論叢. 第124輯. 1-18 (2001)
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[Publications] 佐々木 享: "高校職業学科における実習助手制度の歴史--その形成過程を中心に"愛知大学短期大学部研究論集. 第24号. 21-44 (2001)
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[Publications] 佐々木 享: "えひめ丸事件--高校職業教育の観点から"技術と教育. 第337号. 11-13 (2002)