2002 Fiscal Year Annual Research Report
中等職業教育における実習指導とインターンシップの史的発展に関する実証的研究
Project/Area Number |
12610299
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Research Institution | Aich University Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 享 愛知大学短期大学部, 教授 (10083601)
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Keywords | インターンシップ / 現場実習 / 職場体験学習 / ホームプロジェクト / 産業高校 / 連携教育 / 先進農家での長期研修 / 理科助手 |
Research Abstract |
1.「インターンシップ」の概念を「現場実習の多様な形態」と幅広くとらえ、1990年代末から文部省から推奨されてきた実践のみにこだわらず、日本の旧学制と新学制下の初等・中等教育に限定して、その多様な実施経験を博捜し、類型化することを試みた。 その結果、旧「学制」時代の法規には早くも「現場修行」が現れるがその実態はのちの工部大学校や帝国大学工学部で見られたに過ぎず、(1)初等・中等教育の領域で「現場修行」を重視したと見られる徒弟学校は短命に終わり、(2)「現場実習」は実業学僕で教育課程の補足的位置づけで実施された経験と(3)高等小学校の「一坪農業」運動が見られたに過ぎなかった。ただし、1930年代から大戦末期にかけては、(4)「集団勤労作業」、(5)中等学校の「修練」そして(6)大規模な「勤労動員」が注目された。 第2次大戦後の新学制では、(7)高校工業科では早くから「現場実習」を単位として認定する方針だったこと、(8)初期の農業高校では「ホームプロジェクト」が実施されたこと、(9)鶴岡工業高校の実習工場の生産工場化の経験、(10)富山県の高岡産業高校、(11)京都の商業高校などの散発的実践、(12)定時制・通信制と企業内教育との連携、(13)神奈川県の技術高校の経験、(14)農業高校専攻科の先進農家での長期研修など単位として認定する実践、(15)東京の日暮里中学校の安曇野農業体験など多様な実践が見られた。1990年代以前からは、文部省の推奨もあって中学校、高校ともに進路選択指導の一環としての現場体験学習が急速に広まっていること、教育課程の面では中学校では全員参加方式が多いが高校では希望生徒の参加による方式も少なくないことなどが注目された。 2.昨年度に続き、高校の実習助手制度に注目し、その沿革と現状にみられる諸問題を整理することを試み、とくに理科助手については解決すべき問題が多いことを解明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐々木享: "インターンシップの歴史的経験--初等・中等教育を中心に"技術教育研究会『技術と教育』. 第342号. 1-3 (2002)
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[Publications] 佐々木享: "東亜同文書院への府県費による派遣生の選抜制度--愛知県の場合"愛知大学文學会『文學論叢』. 第126輯. 1-18 (2002)
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[Publications] 佐々木享: "日本におけるインターンシップ(現場実習)の諸類型--初等・中等教育を中心に"愛知大学短期大学部『研究論集』. 第25号. 1-33 (2002)
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[Publications] 佐々木享: "海を越えて学びに行った若者たち--東亜同文書院入学者群像"東亜同文書院記念報. Vol.11. (2003)