2001 Fiscal Year Annual Research Report
学校選択制度と学校の個性化・特色化に関する日英の実証的比較研究
Project/Area Number |
12610304
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (30212294)
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Keywords | 学校選択 / 教育政策 / 中等教育 / 英国 / 教育市場 |
Research Abstract |
我が国において、学校選択の自由化が政策的関心事の大きな一つになっている。従来例外的措置とされてきた区域外就学が、学校の活性化のための方法として、各地の地方自治体において利用され始めている。さらに本年度から品川区において、本格的な学校選択制度がスタートした。品川区の教育長は、その導入目的は、「学校の個性化・特色化」にあると述べている。しかしながら一方で、学校選択制度がもたらす教育機会の不平等など、公教育制度への悪影響の懸念の声も強いものがある。本研究は、上記のような社会的状況に鑑み、学校選択の自由化が果たして学校の個性化・特色化に貢献するものであるのかを日本とイギリスを対象とすることにより実証的に明らかにすることを課題とするものである。 3カ年計画の第2年度である本年度は、研究代表者がすでに収集してあるイギリスの学校選択自由化に関する質問紙調査のデータ(中等学校長、528人を対象)に関して、自由記述の部分のデータ入力および分析をおこなった。その結果、市場原理に基づくイギリスの学校選択制度の下では、競争により、近隣の学校との連携や協力がみられなくなっている場合が多いことが見いだされた。このことは学校の個性化・特色化という観点からは、ユニークな試みは自分の学校のみで囲い込んでしまい、教育実践全体としての質の向上にとっては、むしろマイナスと言わざるをえないという問題点となると考えられる。また、昨年度の研究成果を今年度論文としてまとめ、日本教育制度学会『教育制度学研究』に投稿し、掲載された。 それから、我が国の学校選択制度の実態および自治体における検討状況に関して、品川区、豊島区、足立区、日野市、川口市、志木市、紀宝町等について情報・資料を収集した。
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