2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポストコロニアル状況における先住民社会の変容の研究-オーストラリアとカナダの比較の視点から
Project/Area Number |
12610310
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
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Keywords | 植民地経験 / 先住民 / ジェンダー / アボリジニ / イヌイット / オーストラリア / カナダ / 歴史 |
Research Abstract |
カナダの植民地時代のイヌイットとミッショナリー、探検家をふくめた白人たちとの関係を歴史的資料から検討することが、本年度の研究目的のひとつであった。当初マイクロフィルム資料を購入予定であったが、同資料がすでに、イヌイット研究での共同研究者である昭和女子大学大学院教授のスチュアート・ヘンリ氏が所有していることがわかった。そのため本年度は昭和女子大学へ可能な限りでかけ、資料閲覧、複写を行った。このことは結果としてイヌイット研究の日本における先駆者である同氏から、多方面にわたる助言を受けられることにもなり、大変有意義であったと考えている。これらの資料からは、カナダ北部地域におけるイヌイットの経験した植民地経験の独自性が見えてきた。今後、資料の分析をさらにすすめることによって、具体的なそれぞれの地域的事情が明らかにできると見通しである。 オーストラリアについては、その歴史的背景を中心に、本年度は大阪の国立民族学博物館所蔵の図書の洗いなおし、必要な文献の整理を集中して行った。この機関におけるオーストラリア関連の文献蓄積は、国内においては群を抜いており、今回あらためてアボリジニと白人との歴史的経緯にかかわる文献を整理したところ、かなりの量にあがることがわかった。現在までにそのうちの約3分の1についての分析を終えており、オーストラリア北部の調査地をめぐる歴史的な変遷の全体像が解明されつつある。 これらの成果をふまえ、次年度ははカナダでの海外調査を行い、さらに必要な文献資料の収集とともに、現地調査を行う予定である
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