2000 Fiscal Year Annual Research Report
改革期インドネシアにおける共有地返還運動の社会文化的研究-ミナンカバウ社会の事例を中心として-
Project/Area Number |
12610316
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中島 成久 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)
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Keywords | 改革期インドネシア / Reformasi / 共有地 / Tanah Ulayat / ミナンカバウ |
Research Abstract |
今年度は主にオランダ時代の土地関係の古文献をインドネシア語、英語に翻訳する作業を行なった。'Kolonial Studien(植民地研究),'Tijdschrift voor Nederlandsc Indie(東インド論集)','Adatrechtbundel'(慣習法集成)などの中から、W.J.Kroon,"De Rechtoestand van de Gronden op Sumatra's Westkust"(W.J.クルン、「西スマトラ海岸部における土地権」)など9点を選び、その翻訳作業を始めた。翻訳者を決定し、最終的な校正を研究代表者と共同研究者が協力しておこなうことも了解した。 次に、ミナンカバウにおける共有地(Tanah Ulayat)問題に関する先行研究を収集した,その中でも1998年5月スハルト退陣直後にピークに達したパリアマン県における共有地返還運動に関する修士論文を収集し、その内容を精密に検討した。そこで資料としての重要性を確認すると同時に、分析概念の不備と同時に、他の問題との関連性を検討する必要性を痛感した。 さらに、フィールドワークの候補地として考えているソロック県の共有地問題を検討し、同時にそこで実施されたばかりの「地方自治」Otonomic Daerahの可能性も検討した。オトノミー・ダエラーとはスハルト時代のあまりにも中央集権化した地方行政機構を民主化する手段の一つである。ミナンカバウでは1979年以来廃止されたナガリと呼ばれた慣習法共同体が復活し、デサという全インドネシア共通の地方行政単位が廃止された。こうした動きは「共有地(タナー・ウラヤット)」返還運動にも大きな影響を与えると思われるので、今後十分追跡する必要性を痛感した。
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Research Products
(1 results)