2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610319
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
高桑 史子 東京都立短期大学, 文化国際学科, 教授 (90289984)
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Keywords | 鳩間島 / 過疎化 / 高齢化 / 移住 / 地域おこし / ムラアイデンティティ / 定年帰郷者 / 帰農 |
Research Abstract |
当該研究は3年間にわたり、以下の2点を中心に地域の解体と再生に関する研究を行った。 1・沖縄県八重山郡竹富町鳩間の過疎化、高齢化と新たな鳩間社会の構築 2・石垣市北部地区の開発・過疎化・ムラアイデンティティの創生 鳩間島は1970年代に転出者が増加し、人々の生活の中心は石垣島にうつり、島には高齢者が残るといり典型的な過疎地となったが、常に本土からの移住者が人口を一定にする役割を果たしていた。また、鳩間という「ムラ社会」は消滅したわけではなく他の場所である石垣島で存在していた。住民は、祖先祭に出身者で集まり、浜で鳩間島の方向を向いてお願を実施し、また毎年の豊年祭には島で祭りを実施した。また石垣在の女性神役は定期的に島に帰り、儀礼を実施していた。このように非鳩間人によって維持された、「通う」場としてのふるさとの状況は、90年代以降になると大きく変貌する。定年帰郷者の増加である。現在の鳩間島は、定年をむかえた高齢者が帰還する場として変貌しつつある。また石垣島北部地区では入植者によって新しいムラが成立したが、復帰後、農産物輸入自由化と農業政策の変化を直接受け、再び、出身地にもどった家族、石垣島中心街に転出し家族、那覇や本土に転出していった家族などの増加で過疎が進んだが、故郷再生・創生、地域おこし、帰農や行政による地域活性化などの動きにより、増加する本土からの移住者とともに新しいムラができつつある。 以上から移住の文化人類学的研究への方向性が示された。また、日本社会の構造的変化は、風らいの「伝統」的なムラを崩壊させたが、そこから新たなムラが醸成されていることが明らかになった。
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