2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における老人の役割と生きがいの地域差をめぐる民俗についての調査研究
Project/Area Number |
12610320
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
関沢 まゆみ 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助手 (00311134)
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Keywords | 高齢化社会 / 老人 / 民俗 / 宮座 / 老人会 / 公的役割 / 私的役割 / 生きがい |
Research Abstract |
今年度は、地域社会における老人の役割と生きがいについて民俗調査と情報収集を行なった。主な調査対象と情報の内容は次の通りである。東北地方では、岩手県北上市和賀町における戦没者追悼の遺族会を担っている高齢者たちの現在について、近畿地方では、滋賀県蒲生郡竜王町、近江八幡市の湖東地域から、坂田郡山東町、伊香郡西浅井町などの湖北地域、さらに大津市千野、甲賀郡水口町など湖南地域にかけて、宮座の組織や行事が存在する村落における長老衆や総代と呼ばれる人物たちの村落社会における役割と個人ごとの自己認識、また、都市社会における老人像の追跡の上で、京都市東山区の老人会と市内在住の戦友会世話人の活動についても調査を試みた。 以上より、老人の役割と生きがいという課題にアプローチする場合、一定の社会組織として規定されている公的役割に生きがいを見出す場合と、それとは別に老人自身のライフヒストリーの中で形成されてくる私的役割への自己認識に裏打ちされる生きがいとの両者が重層して存在するという傾向性が抽出できた。 次年度は、とくに東北地方で福祉充実型の村落として知られている岩手県和賀郡沢内村の民俗調査と民俗誌作成を行いながら、分析をさらに進めていくとともに、近畿地方では滋賀県内の宮座組織と行事を伝承する村落における民俗誌作成のための調査を継続する。
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