2002 Fiscal Year Annual Research Report
55年体制の基礎過程〜1950年代の知事選挙と地域開発〜
Project/Area Number |
12610326
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
功刀 俊洋 福島大学, 行政社会学部, 教授 (60153318)
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Keywords | 知事選挙 / 保守分裂 / 野党連合知事 / 農協と県政 / 地域開発と県政 / 安孫子藤吉 / 佐藤善一郎 / 大沼康 |
Research Abstract |
平成14年度は、8月に山形県に調査に行き、高度成長前半期の知事選挙と安孫子藤吉知事に関する資料を収集した。また、この研究全体のまとめの作業として、12月から3月にかけて、国会図書館で1950年代における全国農協中央会と社会党本部の知事選挙対策に関する資料を収集した。そして、これらの資料によって1950年代後半の知事選挙の政治構造を分析した。 1955年の第3回統一地方選挙では、三重、新潟、山形を典型として、現職落選(三選阻止)・野党連合候補勝利という形の知事選挙が続出したが、その原因には、第一に、県財政の赤字とその再建策をめぐる現職知事と県職組・県教組の対立、第二に、いわゆる河野農政(農林予算の激減、農業補助金の廃止、米価の引き下げ、米穀統制撤廃問題、農業団体再編問題)と農業軽視の県政に反発した農協県連の政治的自立化・野党化(農民政治力結集運動)があった。 その後、保護農政の後退=「農業の合理化・近代化」を求める財界・保守党の圧力のもとで、農村県の知事選挙の背景には、農業・農村振興につながる地域開発か、工業化中心の地域開発かという争点が横たわるようになり、県農協中央会によって農村・農業振興を直接要求する農民政治力結集運動が各地で展開されるようになった。その結果、1956年から63年にかけて、宮城、福島、岩手など11の県知事選挙で、県農協幹部出身や県農協推薦の候補者が登場し、社会党の労農提携戦術とも結合して、野党連合は農協知事を各地で実現させていった。保守合同によって発足した自由民主党は、農協の反乱という形で各地の党県連の分裂に悩まされることになった。この事態が終息に向かうのは、1963年以降、分散型の新産業都市構想によって、農業利益が工業化型地域開発に従属することによるものであった。
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Research Products
(1 results)