2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610329
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
若尾 政希 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (80210855)
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Keywords | 幕藩領主 / 名君(明君) / 太平記読み / 軍書 / 政道書 |
Research Abstract |
本研究の2年目にあたる本年は、まず、1,前年度に引き続き、幕藩領主の意識・思想の歴史的特質を明らかにするために、幕藩領主の意識・思想を読み取ることができる史料を掘り起こす作業を行った。(1)幕藩領主自身の編著作類、(2)幕藩領主が遺したという由緒をもつ大名家訓類、(3)幕藩領主の言動を側近・近習らが書き記した言行録、(4)幕藩領主を後世「明君」として美化しその言動を書き記す明君言行録等、(5)幕藩領主周辺の蔵書・蔵書目録等を収集した。 あわせて旧大名家等に残される「太平記読み」関連史料の掘り起こし作業も積極的に行った。 2,収集した史料の内、特に重要なものを、パソコンに入力しデータ化する作業を開始した。今年度入力したのは、『遺教録』、『柴田朝意遺書』『柴田朝意訓戒書』、『陽広公偉訓』、『東照宮御遺訓』『東照宮御遺訓附録』、『明君家訓』、『恩地左近太郎聞書』等である。 3.「明君創造」論・「仁政イデオロギー」論・「民間社会」論等を打ち出したことで著名な深谷克己氏の仕事を検討し、「つながりあう歴史学-思想史研究から深谷克己を読む-」という研究報告を行うとともに、同名の論文を執筆した。 4.「民衆思想と改革政治」と題する研究会(百名程度の参加者、第54回民衆思想研究会)を企画し、18世紀中後期の藩政改革を取り上げ、民衆思想との絡みで領主層の意識・思想から実際の政治施策までをも検討する機会を得た。 5,国際シンポジウム:日韓歴史共同研究会(韓国のソウル大学校にて開催)で、「日本近世における儒教の位置-近世前期を中心にして-」という発表を行い、朝鮮の政治思想と比較しつつ日本の幕藩領主の政治思想の特質を指摘した。
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[Publications] 若尾 政希: "つながりあう歴史学-思想史研究から深谷克己を読む-"民衆史研究. 63(未定). (2002)
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[Publications] 若尾 政希: "『本佐録』の形成-近世政道書の思想史的研究-"社会学研究. 40. 235-289 (2002)
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[Publications] 若尾政希, 青木美智男: "展望日本歴史16 近世の思想・文化"東京堂出版. 481 (2002)