2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610331
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
相良 英輔 島根大学, 教育学部, 教授 (70124071)
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Keywords | 塩田 / 塩業 / 小作 / 浜子 / 地主 / 明治期 / 防長 / 経営 |
Research Abstract |
本年の主な研究活動として、島根大学図書館蔵「山陰新聞」のマイクロ版から、明治29年〜大正元までをコピーレ、在来産業関係記事を整理している。また、山口県文書館へ5日間、山口県光市ふるさと郷土館、同大島郡東和町、同郡久賀町歴史民俗資料館へ5日間の調査を行なった。収集した主な資料は、塩業関係資料、織物業関係資料である。 本研究の具体的な成果として、「明治期の塩田小作争議と浜子の同盟罷業」(「史学研究」第229号所収)を発表することができた。本論文では、三田尻塩田大会所(塩田地主組織)の性格を明らかにすると同時に、今まで明らかにされたことのない明治期における塩田小作争議の実例を紹介し、分析することができた。さらに浜子同盟罷業について多くの実例を紹介し、その特徴について分析した。すなわち、浜子の生活が現金生活であり、物価の上昇が彼らの生活を直撃することから、浜子同盟罷業は物価の上昇と密接な関係をもっていることなどを明らかにした。織物業関係については、まだ論文を発表していないが、主に山口県の柳井を中心にした縞木綿、岩国を中心にした縮木綿、大島郡を中心にした白木綿について、明治期の多くの統計資料、報告書などを収集することができた。特に白木綿については、朝鮮への輸出関係資料によって、多くの新たな事実を知ることができた。すなわち、山口県大島郡の白木綿問屋が明治20年代に朝鮮への進出を試み、しだいに市場を拡大し、28年には爆発的に輸出を拡大させたが、日清戦争後は輸出を減少させていることなどを明らかにすることができた。
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