2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610333
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 博史 広島大学, 大学院・文学研究科, 助手 (20263642)
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Keywords | 戦国期大名権力 / 地域支配 / 毛利氏 / 吉川氏 / 山陰地域 / 花押 / 山陰吉川領 / 国衆 |
Research Abstract |
本研究では、まず、吉川氏に関する史料を博捜し、未紹介の関係史料を含めた計7000点近い史料の目録を作成した。次に、吉川氏発給文書には厖大な年未詳文書が含まれるが、これらの年代比定を行う重要な手がかりとして、可能な限り原文書に依拠した吉川元春の花押の徹底的な博捜と分析を行い、花押の年代変化を解明した。以上の基礎的作業と分析によって、研究基盤の整備を行った。 以上の成果をふまえ、16世紀後半の毛利氏が支配した山陰地域を対象に、戦国期大名権力の地域支配について検討を進めた。その際、検討対象地域を、おおむね石見国、出雲国、因幡・伯耆両国の3つに分けて、それぞれ検討を行った。 石見国は、戦国期に吉川元春が介入するはるか以前から、吉川氏と深い結び付きを有していた。そのような、前史にさかのぼる検討を行い、安芸・石見両国吉川氏の歴史的性格と、吉川氏が山陰方面を担った歴史的背景について再検討した。続いて、毛利氏が尼子氏討滅後に支配した出雲国について、研究史が注目してきた富田城主(毛利元秋・天野隆重)との関わりについて、再検討を行った。さらに、山陰吉川氏の到達点の一つとも評価されてきた因幡・伯耆両国支配については、武田氏・山名氏・南条氏・杉原氏の果たした役割を重視するとともに、国衆や在地の状況を確認しながら、武田氏・山名氏・南条氏を失って以降の因幡・伯耆方面の吉川氏の立場と役割について、再検討した。 最後に、以上の点を総括することを目的として、豊臣期に至る山陰吉川領の形成過程と、吉川広家期におけるその転換について明らかにし、毛利氏領国における吉川氏の位置づけについて、通史的な把握を行った。これによって、研究史に数多くの修正を加えた。
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