2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610345
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Research Institution | RISSHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小山田 和夫 立正大学, 文学部, 教授 (90147934)
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Keywords | 平安京の宗教的環境 / 平安遷都 / 『日本紀略』写本の残存状況 / 大将軍八神社 / 北野天満宮 / 東寺の創建と仏像 / 鞍馬寺の創建と仏像 / 朱雀大路とその後 |
Research Abstract |
平成13年度は、研究の第2年目であり、平安京の宗教的環境を考察するための基本的な史料の収集・整理を中心とした調査・史料収集を実施した前年度の成果を受け、研究成果の整理を中心に実施した。 平安京の宗教的環境を決定付けた桓武天皇の宗教政策は、延暦2年6月12日太政官符と延暦4年5月25日太政官符である。この2つの官符によって、平城京の時代における政治と仏教の融合状況を排除すると共に、養老僧尼令の規定を再度述べ、教律に沿った僧尼の出現に期待した。そして、長岡京、平安京共に、私寺の建立を禁止し、平安京では、東寺と西寺と言う2つの官寺以外の仏教的な要素は認めなかった。しかしながら、神社の移転は別で、桓武天皇の生母に関係した神社の移転すなわち平野神社の創建を実施すると共に、山背国の在地の神々にも手厚い祭祀を加えたのである。 平安京の宗教的環境を形成したのは、東寺と西寺と言う2つの官寺ではかく、上記の平野神社に代表されるように、渡来系の神々、そして最も端的にそれを物語るのは、平安京の正門に該当する朱雀大路の羅城門の楼上に安置された兜跋毘沙門天立像に代表される異国の信仰であった。 異国情緒漂う平安京の地域、以前から定住していた氏族らが奉戴していた神々、例えば、太秦の秦氏のように渡来系の神と在地の神との融合を図りつつ、その勢力を拡大していたように、在地の渡来系氏族らに支えられながら、初期の平安京は渡来系の神々との融合の中でその宗教的環境を形成して行ったのである。 詳細は、全8章全187ページより構成した報告書を参照していただきたい。
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