2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610355
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森 茂暁 福岡大学, 人文学部, 教授 (60091237)
|
Keywords | 朝廷 / 室町幕府 / 満済 / 満済准后日記 / 公武関係 / 密教 |
Research Abstract |
本研究は、室町時代における朝廷と室町幕府の諸交渉を通じて、朝幕関係のありようを具体的に理解することを目的としているが、そのためには、さまざまな当該期の史料から関係記事を収集することが基礎作業となる。 本年度の研究はこのことが主眼となった。具体的には、公武の間にあって、重要な役目を果たした醍醐寺三宝院の満済という僧侶に焦点をあて、その動向と役割とを明らかにすべく『大日本古文書』等の活字史料から関係史料を収集し整理したほか東京の史料所蔵機関におもむき、未活字史料に目を通し、関係記事を書き写す作業を行った。まだ全部終わったわけではないが、その輪郭は次第にわかってきた。この作業をさらにもう一年つづけることによって、さらに研究を推し進めることが可能である。 三宝院満済については、有名な日記『満済准后(まんさいじゅごう)日記』があり、すでに活字化されているが、部分的に問題点もあり、やはり肝心な個所は原本写真と照合する必要があり、適宜これを行った。本年度はこの日記の分析を主眼の一つとし、刊本史料を網羅的・徹底的に読み進めている。その結果、大きくいうと、満済の属する当時の顕密寺院は、祈祷という宗教行為を通して公武を一体化する役割を果たしていたのではという思いを強くした。 その他、満済関係史料を国立歴史民俗博物館の所蔵史料のなかから探す作業なども行った。
|