2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610355
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森 茂暁 福岡大学, 人文学部, 教授 (60091237)
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Keywords | 足利義持 / 足利義教 / 満済 / 満済准后日記 / 赤松持貞 / 密教 / 醍醐寺三宝院 |
Research Abstract |
本研究は、室町時代の朝廷と幕府の関係についての具体的な考察を目的とし、同時期における朝廷の動向、また室町幕府を構成する将軍(足利義持、同義教など)や幕府重臣クラスの有力守護大名の動向、さらに朝廷・幕府の中枢と密接な関係を有する僧侶(主として密教の僧侶)などのかかわりを軸にして、室町時代政治史の立体的・有機的把握をはかるものである。 関係史料の徹底的収集を目的とした前年度の具体的な作業を踏まえ、本年度においては、さらに関係史料を補足・補充しつつ、実質的な叙述作業に入った。本年度に活字化した論文は2本。以下その研究成果について、その概要を述べる。 まず、足利義持の政権を特徴づける将軍専制への志向とその挫折について、義持の近習の一人赤松持貞という人物の動向を通して考察した。赤松持貞は将軍の命をうけて宗教面での行政を担当した関係で、祈祷をとおした密教世界と政治権力とをつなぐ立場におり、将軍の宗教政策の要に位置したことがわかる。赤松持貞の動向は足利義持政権の性格を集約的に表現している。 次に、本研究のための基本史料たる『満済准后日記』の史料的な性格を知り、満済という密教僧と将軍(義持・義教)との関係をうかがう目的で、同日記に引用されている文書を抜きだし、日記のなかで文書が果たしている役割を考え、またそれらの文書を自身の日記に記録した満済の動向を追求した。その結果、満済日記の記録性の高さを認識するとともに、同じ将軍でも義持と義教とでは満済との関係は決して同じではなく、当時の政治状況が強く影を落としていることをうかがうことができた。
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