2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610368
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Research Institution | SHIGA UNIVERSITY OF MEDICAL SCIENCE |
Principal Investigator |
辻 正博 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30211379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 洋介 富山大学, 人文学部, 助教授 (10293276)
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Keywords | 唐律 / 流刑 / 編管 / 監獄 / 圜土 / 宋代史 |
Research Abstract |
本研究は、唐宋変革期を風で大きく変貌した刑罰制度のあり方にういて総合的見地に立って考察を行うことを目的とし、この時代を特徴づける刑罰である追放刑と労役刑を主たる研究対象とした。今年度は、次の如き成果を得た。 1.唐代における流刑執行の実態解明-理念と現実の乖離- 唐律では郷里への帰還が絶対に認められていなかった流刑は、実は唐初より恩赦による流人放還の例がしばしば見られた。また、流刑の執行について、律では流人が配所に到着すれば執行完了とするが、当時の為政者にとっては、流人が配所に居住し続けることも刑の執行に含まれており、流人の監視は彼らの責任により行われていた。 2.宋代特有の刑罰-編管制度に関する研究 編管制度に関する通説の修正を、労役の有無、刑期、強制移動の程度などの点について試みた。その結果、罪人を帳簿上で管理するのが編管の本質であること(実際の監視は現場に委ねられるが、その対応はさまざま)、編管に労役は随伴しないこと、編管は有期刑であること、罪人が強制移動される先は必ずしも遠隔地ではないこと等を明らかにした。 3.宋代監獄制度の研究 北宋末に登場する圜土すなわち刑徒収容施設の、刑制史的位置づけを試みた。従来の刑罰では対処できない凶悪犯をいかにして社会から隔離するかという社会問題に対して、宋朝は、刑罰の厳罰化による威嚇と罪人の物理的隔離の、いわば2本立てで臨んだのである。ただ、後者については設備その他解決困難な問題もあり、「刑務所」のような形にまで高められることはなかった。
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Research Products
(1 results)