2002 Fiscal Year Annual Research Report
清代漢籍史料に見る東南アジア大陸部の変動に関する研究
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12610370
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡邊 佳成 岡山大学, 文学部, 助教授 (80210962)
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Keywords | 東南アジア史 / 漢籍史料 / 清代 / 国際情報交換 / 中国:タイ:ビルマ / 中国第一歴史档案館 / 故旧博物院 |
Research Abstract |
研究の最終年度に当たる本年は、第一の研究課題である東南アジア大陸部関係漢籍史料集成(清代)の作成に向けて、昨年度に引き続き、以下の研究活動を主として行った。 1.史料文献目録・解題の作成 これまでに作成した「タイ関係漢籍史料目録」「ビルマ関係漢籍史料目録」に基づき、東南アジア関係漢籍史料の解題を「岩波講座東南アジア史』別巻に発表した。未公刊の清朝档案史料については、北京の中国第一歴史档案館所蔵の外交関係の朱批奏摺、軍機処録副などの档案、および、台北の故旧博物院所蔵の緬档の目録化を行ったが、各文書館の規定により公表は差し控えることにした。 2.史料の収集と抽出、および史料集成の作成 本年度はビルマにおける中国寺院を中心とした碑文史料の収集にあたったが、戦争時における破壊、戦後の開発に伴う移転、廃棄などの事情により、当初の予定通りの成果を上げることはできなかった。今後の悉皆調査の必要性を痛感した。史料集成については、ビルマ関係漢籍史料集成(宮中档乾隆朝奏摺)を完成させたが、1700ページの大部のものとなったため公刊の目途がたたず、その簡略版を研究成果報告書として出版することとし、引き続き、続巻の編集作業を行っていくこととした。 3.史料の分析 史料の分析を通じて得た知見をもとに、東南アジア史学会第284回関西例会(4月20日)における『岩波講座東南アジア史』4の合評会、および、東南アジア史学会第67回研究大会(6月1,2日)における<17世紀を再考する-「交易の時代」の終焉をめぐって->シンポジウムをそれぞれ組織し、17-18世紀の東南アジア史の再構成にあたって、大陸部東南アジアにおける陸域のネットワークの解明の重要性を指摘した。
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[Publications] 渡邊佳成: "「ビルマ史」の見直し"岩波講座東南アジア史別巻 東南アジア史研究案内(岩波書店). 42-46 (2003)
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[Publications] 渡邊佳成: "漢籍"岩波講座東南アジア史別巻 東南アジア史研究案内(岩波書店). 164-171 (2003)
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[Publications] 渡邊佳成: "18-19世紀イギリスにとってのビルマ"文化共生学研究. 1. (2003)
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[Publications] 西村昌也, 渡邊佳成: "東南アジア「古代」・「中世」の再検討"東南アジア 歴史と文化. 32. (2003)