2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610371
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植村 泰夫 広島大学, 文学部, 教授 (40127056)
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Keywords | 華人の内地流通支配 / 広域流通品 / 輸入生活必需品 / 輸出向け住民生産品 / 港湾都市 / 市場 / 現地人大商人 / 小規模商い |
Research Abstract |
本年度は、(1)オランダ植民地政庁の商業政策、(2)ジャワにおける商業流通の実態解明を目標にした。(1)については、19世紀初頭以来の植民地支配が地域社会の把握を次第に強めていく中で、オランダは商業流通を基本的には現地社会の趨勢に委ね、第1次大戦末のように品不足が深刻化した危機の時期のみ規制を加えたこと、その結果、19世紀初頭以降、一般的には華人の内地流通支配が進んだが、それには彼らのネットワークの強さが大きな役割を果たしたことが明らかになった。(2)については、ジャワ内の生産の地域的偏りを検討した結果、(1)生産地に偏りがあるがジャワ全域で一般に消費されるため、産地から理事州の枠を越えて流通する広域流通品(例えば内地産米、クレテック煙草)、(2)ジャワ全域で消費される輸入生活必需品で、港湾都市(スラバヤ、バタヴィア、スマラン)から内陸農村へもたらされる広域流通品(例えば綿製品、輸入米など)、(3)輸出向け住民生産品で農村部から港湾都市へ流れるもの(例えば東端地方の煙草、西ジャワのゴム、編み製品など)、(4)域内でのみ流通する必需品(例えば家禽類、果物など)などの区別があることが明らかになった。(1)は生産者からジャワ人・華人小商人により買い上げられ、華人大商人の手で他地域に運ばれ、華人小商人を経て直接、あるいは市場(passar)を通じて消費者へ販売される。ただし、マドゥラなど一部地域では現地人大商人が域外流通に参与している。(2)はヨーロッパ人輸入業者から買い付けた華人商人の手で農村部へ運ばれ、(3)の流通はその逆コースを取るが、これらは生産者に(2)を先渡しすることで(3)の商品の入手を確実にする形を取ることが多い。(4)では、市場における農村の婦人による小規模商いが重要な役割を果たしている。
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Research Products
(2 results)