2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610373
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
平田 茂樹 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90228784)
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Keywords | 政治日記 / 皇帝 / 官僚 / 王安石日録 / 対 |
Research Abstract |
前年度は、宋代の時政記と政治日記史料に関する総合的調査を行った。本年度は、数多く存在する政治日記史料の内より、ケーススタディとして『王安石日録』を取り上げ、史料調査を行った。『續資治通鑑長編』、『四明尊堯集』の二つの史料に断片的に残されてい同史料について、両者を突き合わせながら、『王安石日録』の復元作業を進めると共に、具体的内容について分析を進めた。分析に際し、特に着目したのが、陳〓の『四明尊堯集』である。この史料は『四庫全書存目叢書』が1997年に中国で刊行され、ようやく日本で見ることができるようになったものであり、宋代政治史研究にとって極めて重要な意味を持っている。同史料を詳細に検討すると共に、版本の異なる史料が中国国家図書館(旧北京図書館)に残されているため、2月から5月にかけての中国滞在期間中と、11月上旬の中国出張の際、史料調査を試みた。また、本テーマに関わる関係史料を静嘉堂文庫、内閣文庫などより文献複写を行い入手した。 一連の作業の結果、『王安石日録』の執筆動機、具体的内容、政治史研究を進める上での同史料の史料的価値などを明らかにすることができた。すなわち、『王安石日録』に代表される政治日記の解析は、皇帝と官僚が直接対面して意見交換を行う政策決定システムである「対」が重要な機能をなしていた宋代の政治の実態を知る上で有効なものであり、新たな宋代政治構造を明らかにしうるものである。なお、この成果は「『王安石目録研究』-『四明尊堯集』を手掛かりとして-」と題する論文として近々、公表する予定である。
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Research Products
(2 results)