2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610390
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 良 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (30127873)
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Keywords | ポピュリズム / 労働騎士団 / グレンジ / グリーンバック運動 / 農民運動 / 労働運動 |
Research Abstract |
本研究は、南北戦争前に生じた、いわゆる「自由労働イデオロギー」が、19世紀末の大規模な民衆運動であるポピュリズム運動の一つの基調をなすことを立証しようとするものである。その際、従来ポピュリズムの運動は農民的色彩が強いものとして、先行する農民的運動との連接関係が注目されがちであった。しかし、具体的な運動の経緯、運動を支えた社会層、そのもっていたイデオロギーなどを子細に検討すれば、南北戦争以前からの労働運動の果たした役割が農民運動に劣らず大きかったことが明らかになってくる。その点、19世紀労働運動のなかでも、「労働騎士団」の果たした役割は特に注目に値する。この労働騎士団は、早くから都市的地域だけでなく、農村地域の小タウンなどにも浸透し、組織、人員、イデオロギーなどの面でポピュリズムの成長を側面から支えたのであった。この意味で、労働騎士団は南北戦争前の運動やイデオロギーと世紀末のポピュリズムを結びつける重要な役割を果たした。 以上のことを立証するために、平成12年度に引き続き、今年度もアメリカ合衆国において史料調査を行った。その成果は、昨年度の史料調査の成果ともあわせ現在公刊に向け整理中である。 なお、今年度の成果としては、ポピュリズム理解のための方法論に多大な影響を与え続けているロバートH.ウィービーの方法的特徴とその背後にある歴史家としての姿勢を検討した小論「ロバートH.ウィービーの『転回』-追悼に代えて-」『アメリカ史評論』第19号(2001年10月)を書くとともに、関西アメリカ史研究会秋季大会(2001年11月11日京都大学)において「ウイービーの『転回』-組織史学からポピュリズムヘ?」と題して同趣旨の報告を行った。
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