2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610390
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 良 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (30127873)
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Keywords | ポピュリズム / 労働騎士団 / グレンジ / グリーンバック運動 / 農民同盟 / AFL / 土地改革運動 / 土地問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一貫して、南北戦争前に生じたいわゆる「自由労働イデオロギー」が、19世紀末の、農民を中心とし、労働者を巻き込んだポピュリスト運動の基調の一つを形成していたことを実証することにある。その際の着眼点は、自由労働イデオロギーが土地所有に基づく経済的・政治的独立を求める思潮であったことから、土地問題に関わる思想や運動が、南北戦争前から南北戦争後にかけてどのように継受されていったのかの解明にあった。 土地問題に関しては、南北戦争前に東部の労働者を中心に、西部の土地の自営農地としての開放とそこへの入植を求める「土地改革運動」が活発に繰り広げられたことが知られていた。この運動は、1862年の「自営農地法」の成立をもっても終わらず、南北戦争後も「全国労働者連合」などを通じて労働運動のなかで受け継がれ、ついに「労働騎士団」の主要追求目標の位置に据えられた。この点特に、1880年代労働騎士団の大団長を務めたテレンス・パウダリーの果たした役割は無視できない。 一方で、南北戦争後の農民運動で大きな役割を果たしたグレンジャー運動は、土地問題に関しては概して消極的であった。しかし、1880年代後半から台頭した農民同盟は現実に土地喪失や土地の入手困難に直面した農民からの切実な声を受けて、土地問題に積極的に取り組んだ。グレンジも農民同盟の台頭や労働騎士団からの土地問題での働きかけをうけて、ようやく土地問題に注意を向けるようになった。 このような土地問題での農民と労働者の要求の集約点が、1892年ポピュリストのオマハ綱領の「実際の定住者のみによる土地保有」という主張であった。 論文「ポピュリストと土地問題」は以上のようなことを明らかにした。論文「ウィービー史学における民主主義論の展開」は、引き続き予定しているアメリカ・ポピュリズムの民主主義の歴史的源泉の究明のための予備作業の一環である。
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Research Products
(2 results)