2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610396
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中野 隆生 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90189001)
|
Keywords | 住宅 / 民衆 / 都市 / 田園都市 / 生活様式 |
Research Abstract |
2000年夏の約1ヶ月間のパリ滞在などを通して、パリ地方を中心とする20世紀フランスの都市、住宅、民衆にかんし、史資料の探索や収集、研究現状の把握につとめた。まず、1920〜30年代のパリ地方に建設された公的性格をもつ田園都市10ヵ所を訪れ、建設時のプランと比較しながら、現状を確認しつつ写真撮影をおこなった。近年の再開発の対象でもある、これら田園都市にかかわる国立古文書館所蔵資料を閲覧のうえ必要のものを撮影して持ち帰った。また、2000年に公刊されたアニー・フルコー(フォントネー=サン・クルー高等師範学校教授)の宅地分譲研究からは多くを学んでいるが、同氏からは、実証的研究の重点がいまや1950年代に誕生した大規模団地の整備に移行しているという情報を直接に得ることができた。このほか、民衆家計の実態を明らかする文献、史資料の探索にも努力したが、不可欠な第二次世界大戦直後についての情報は必ずしも十分にはならなかった。現在、以上のような、史資料、文献、諸情報などを整理しながら、本格的な分析、検討に着手しつつある。 近代都市にかんする日仏シンポジウムの具体化に向けても着実に準備を推し進めている。フランスから招請を予定しているアラン・フォール(パリ第10大学ナンテール校研究員)とは滞仏中に幾度か話し合って報告の内容をつめたが、日本近代史の専門家として加わっていただく原田敬一(佛教大学)、阿部安成(滋賀大学)とも意見交換をおこなって論点の明確化をはかった。こうした準備作業から明らかになったのは、日仏間で研究の関心がかなり異なっており、両者をかみ合わせるのがなかなか難しいという事実であった。したがって、都市、居住環境、民衆を対象とする歴史研究の方法や視角を、改めて鍛えることが重要な課題として浮かび上がっているように思われる。日仏シンポジウムは2001年10月に開催を予定している。
|
Research Products
(1 results)