2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610396
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中野 隆生 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90189001)
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Keywords | 住宅 / 民衆 / 都市 / 田園都市 / 生活様式 |
Research Abstract |
昨年度にひきつづいて、近代都市史をめぐる歴史研究の現在的課題を掘り下げながら、20世紀前半のパリ地方に焦点をあわせて、フランス民衆の居住空間にかんする史資料の探索、検討、分析をおこなった。 近現代における都市史、民衆史の研究の現状については、フランスにおける諸研究を参照にしつつ、パリ地方にかんする知見の獲得につとめたが、その一方で、ここ20年ほどの日本における社会史研究の急展開に止目して、関連する諸研究の整理を試みた。その一端に既発表の「日本におけるフランス労働史研究」も含まれるが、ほかにも、20世紀の国家や、近現代の社会関係をめぐる歴史研究の関心を把握しようとした。全体的な展望のなかに民衆の居住空間と生活様式を位置づけることを志したのである。 また、2001年10月6日には、19世紀パリ史の第一人者アラン・フォール氏(パリ大10大学)、近代の大阪を専門とする原田敬一氏(佛教大学)、横浜をフィールドとする阿部安成氏(滋賀大学)を招いて、近代都市にかんする日仏シンポジウムを開催した。そこでは、日仏間における史実の相違はもちろんであるが、都市や民衆に寄せる関心の違いが明らかになり、方法の面からも、さらなる交流の必要性が痛感された。上記3氏の報告を核にして論集の編纂を進めているが、シンポジウムにかんしては、すでに『日仏歴史学会会報』17号で簡単な紹介をおこなった。 以上のような既存研究の渉猟・検討、研究会・シンポジウムなどでの意見交換を生かすべく、20世紀前半の田園都市について史資料収集を、昨夏もパリでおこない一定の成果をあげた。その検討・分析の努力を鋭意つづけており、早急な綜合化と報告書の作成をめざしている。
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