2002 Fiscal Year Annual Research Report
古代メソポタミアにおける神・人間のコミュニケーション
Project/Area Number |
12610398
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中田 一郎 中央大学, 文学部, 教授 (50119541)
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Keywords | メソポタミア / 古い / バビロニア / 預言 / 夢 / ディヤラ / マリ |
Research Abstract |
本研究は、(1)比較的史料の多い前2千年紀に重点を置いて、神・人間のコミュニケーション・チャネルである各種の占い、夢、預言などについての言及例を文書史料から収集し、(2)各種コミュニケーション・チャネルの比較をすると同時に、(3)果して、人間は神々の恣意の奴隷であることに満足していたのかについても、いわゆる智恵文学などに照らして検討し、(4)古代メソポタミア人のメンタリティを解明することを目的とした。 最終年度である第3年度においては、上記研究目的の全体にわたって研究を進めることが出来た。成果の一部は「内臓占い」「神託」「夢占い」「夢」「預言」「預言者」「守護神」「ヨブ記」「新年祭」「川の神」他の事典原稿として既に提出済み。これらは日本オリエント学会編『古代オリエント事典』に収録、平成16年夏に岩波書店から刊行される予定(本事典編集委員長は当研究代表者である中田一郎)。さらに本年度はマリの預言について論じた研究論文"Prophecy at Mari"(英文)をまとめることが出来た。本論文であらためて確認した知見の1つは、アーピルムと呼ばれる預言者が通常の預言者としての機能のほかに、内蔵占いなどによって得た「吉」または「凶」(単純なイエス・ノーに相当)の回答を文章化し、場合によっては特定の神の強烈なアジテーション(神託)に作文するいわば神の「スピーチライター」としての機能を併せ持っていた可能性が有る点である。なお、この論文は平成12年度〜平成14年度科学研究費補助金による「研究成果報告書」の1-24頁に掲載している。
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