2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本前・中期旧石器時代の編年と地域性の解明-大分県早水台遺跡の発掘調査-
Project/Area Number |
12610409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳田 俊雄 東北大学, 総合学術博物館, 教授 (40140462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿子島 香 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10142902)
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Keywords | 大分県早水台遺跡 / 前・中期旧石器時代 / 下末吉段丘の形成期以降 / 安山岩角礫層 / 石器群 / 九重下坂田テフラ / 礫や大形剥片を素材とした石器 / 石英粗面岩 |
Research Abstract |
大分県国東半島南西部に位置する早水台遺跡は、1964年に東北大学の芹沢長介教授が発掘調査をおこない、下層の安山岩角礫層から石英粗面岩を中心とした石器群を検出した。芹沢教授は東アジア地域の前期旧石器時代の資料と比較検討し、この石器群を約10万年前まで遡るものとして位置づけた。私達は、37年後の2001年の3月と9月に再発掘し、同遺跡の別地点で芹沢教授が確認した同じ層から新たな資料を検出した。この資料に基づいて近年調査された日本列島内の3万年以前の石器群と早水台遺跡の石器群を比較し、当該期の編年と地域性の存在を解明した。(1)早水台遺跡の石器群は日本列島内で最古の石器群である。その年代観は、下末吉段丘の形成期以降、または九重下坂田テフラから、阿蘇4テフラまたは喜界葛原テフラ降下期前後の時期と推定される。その絶対年代は約9〜11万年前に位置づけられよう。(2)次ぎに後出する石器群は、星野遺跡第7〜12文化層、大野遣跡下層の石器群である。多様な小型のスクレイパー類を保持する石器群である。早水台遺跡のように礫や大形の剥片を素材とした石器が利器類の一定量を占めない。これらは、約6〜7万年前後まで遡るものと推定される。(3)さらに後出する石器群は、沈目遺跡、後牟田遺跡第IIIb文化層、金取III・IV、平林遺跡の石器群等を代表する石器群である。三角形、台形状の剥片を素材とし、周縁に粗い加工を施した特徴的な石器が組成する。先行する石器群とはここに大きな画期がみとめられる。この時期を約5万年前後とする。(4)さらに新しい一群として、曲野遺跡VI層石器群が代表的な例に上げられる。台形様石器、刃部磨製石斧、基部加工したナイフ形石器が組成する。後期旧石器時代の始まりである。地域性が見られるのは、(2)と(3)の画期以降である。特に、(3)の時期以降になると、地元産の石材が各地で多用され、地域間の様相に違いが現れる。
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Research Products
(1 results)