2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代地方都市の成立・展開・解体過程の総合的研究
Project/Area Number |
12610412
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山中 章 三重大学, 人文学部, 教授 (40303713)
|
Keywords | 古代王権 / 宮都 / 地方都市 / 都市性 / 大宰府・多賀城・斎宮 / 国府 / 評衙・郡衙 / 東アジア地方都市 |
Research Abstract |
本研究は、日本の古代地方都市の形成から解体に至るプロセスを、分節化した都市的要素毎に検討し解明しようとする試みである。平成12年度には、古代主権の地方支配の拠点として設置された斎宮.大宰府.多賀城の成立から展開過程を検討し、都市としての景観が8世紀末に一剤こ形成されることを明らかにした。首都における都市性の充実と地方支配拠点の整備がパラレルな関係にあることも明らかにした。同時に新羅の首都慶州における宮都の成立過程を分析し、古代日本の王権中枢部の形成過程と酷似していることを明らかにした。平成13年度には、主に伊勢国における王権による地方支配の確立過程を、伊勢北部では大安寺墾田地の分析から、伊勢中部では東寺大国荘や群集墳の石室構造などから検討し、6世紀末にまで遡る可能性を指摘した。平成14年度には、隠岐、二河、伊豆、若狭など海浜部に設置された特殊な国を対象とし、海部の掌握過程を通して王権による直接的地方支配について新たな視点を提供した。両年にわたって、東アジアの帝国・漢の地方支配について現地調査を行い、王権の中心たる関中から同心円上に広がる地方支配の構造を確認し、その維持装置としての関の存在に着目した。日本の古代王権が三関を設置し背景には、こうした中国の支配モデルがあったという仮説を提示し得たのも大きな成果であった。 今後さらに海浜部以外の一般的な国における王権と地方との支配関係の確立過程を検討し、その拠点としての評衙、郡衙、国府の整備がいつどのように行われるのか、それらが地方都市へと成熟する要因は何かなどについて研究を深化させていく必要性があろう。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 山中章: "斎宮方格智割の設計"条里制・古代都市研究. 17. 65-92 (2001)
-
[Publications] 山中章: "古代宮都成立期の都市性"新体系日本史 都市社会史(出川出版). 6. 121-158 (2001)
-
[Publications] 山中章: "伊勢国北部における大安寺墾田地成立の背景"ふびと. 54. 1-25 (2002)
-
[Publications] 山中章: "伊勢国一志郡における古代地域支配の形成過程"三重県久居市上野遺跡に関する総合研究. 75-83 (2002)
-
[Publications] 山中章: "伊勢国飯野郡中村野大安寺領と東寺大国荘"三重大史学. 2. 1-14 (2002)
-
[Publications] 山中章: "律令国家形成過程の古代王権"日本古代王権の成立(青木書店). 41-91 (2002)
-
[Publications] 山中章: "長岡京研究序説"塙書房. 458 (2001)