2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610414
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 悦世 岡山大学, 文学部, 助教授 (60174778)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 志保 岡山大学, 文学部, 助手 (30239967)
横田 美香 岡山大学, 文学部, 助手 (90273953)
|
Keywords | 縄文時代 / 自然環境 / 植物食 / 農耕 / 植物遺体 / 石器組成 / 稲 |
Research Abstract |
1.縄文時代後期の景観復元:地形復元では、土木工事のボーリングデータから想定できる旧地形とは必ずしも一致しないことがわかった。発掘資料からは後期初頭段階には、沖積化による微高地形成が進むことが予想された。しかし、その範囲は、モデル地域の津島岡大遺跡でも、丘陵裾部の限定的な範囲に狭小な広がりが確認される程度で、大半の沖積部には河道や谷が複雑に入り組んだ景観が想定される。自然環境に関しては、植物遺体の分析から多様な植生の復元と自然に対する積極的働きかけを確認することができた。発掘調査データを重ね合わせると、丘陵裾部周辺を中心に森や野原を切り開いて集落が形成され、周辺には河道などの湿地に貯蔵穴を随所に作り、その周囲の狭小な微高地を加熱処理などの作業場として利用した状況が復元できる。 2.生業の特性:種子分析からは「人里雑草」が多い点と利用可能な種類が多い点が注目され、植物食における多様な植物利用が再確認された。石器分析では、遺跡や時期ごとに組成が異なる傾向が顕著に認められるとともに、栽培関連石器(特に石包丁的な機能を予想される石器など)が、後期には各遺跡において一定の割合を占めることが明らかとなった。以上の結果から、集落ごとに環境に即した形態を強くもつ縄文時代の生業が浮き彫りとなり、多様性に富んだ植物食の存在が復元できる。稲に関しても、様々な成果から中期末から後期の段階には、一部の地域において生業の一部を構成した可能性は高い。それ以前に関しては、今後検討を重ねる必要があろう。 こうした主要な成果を印刷物として刊行した。 3.今後の研究:プラントオパール実験では若干の移動が認められ、その程度の確認を課題として継続的に試行している。縄文時代後期の社会的特性を考える上で弥生時代との比較が課題であり、移行形態にも注目したい。
|
-
[Publications] 山本 悦世: "津島岡大遺跡おける縄文〜弥生時代の環境復元に伴う試掘確認調査"岡山大学構内遺跡調査研究年報. 18. 26-32 (2001)
-
[Publications] 山本悦世, 横田美香, 岩崎志保: "縄文時代の景観復元と生業に関する実証的研究"西尾総合印刷(株). 50 (2002)