2000 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮半島系渡来文化の伝播・普及と首長系譜変動の比較研究
Project/Area Number |
12610416
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉井 健 熊本大学, 文学部, 助教授 (90263178)
|
Keywords | 朝鮮半島系渡来文化 / 甑形土器 / 造り付け竃 / 無文土器 / 首長系譜 / 鋤崎古墳 / 宇土半島 / 埴輪 |
Research Abstract |
1.九州本島における甑形土器や造り付け竃・移動式竃の資料集成を行った。これには設備備品費で購入したパーソナルコンピューターなどを活用している。現在,集成資料のパソコンによるデータベース化を進行しつつある。 2.上記成果の一部をもとに,九州本島における古墳時代中期の甑や竃の普及状況を検討した。これと,弥生時代からの朝鮮半島系渡来文化の動向を比較した上で,それが弥生・古墳時代を通じて継続して受容される糸島平野から福岡平野地域のもつ意味を,当該地域の古墳動向と関連させて考察した。その結果,中央政権が朝鮮半島に対する外交政策を重視する動きと,当該地域における渡来文化の継続した受容,および古墳の動向が密接に関連することを想定した。この成果は発表予定の論文に結実しているが,今後さらに,鋤崎古墳などの詳細な検討を行うことで,この想定を確かなものとしたいと考えている。これは研究実施計画に記したケーススタディ(2)における研究成果の一部でもある。 3.研究実施計画に記したケーススタディ(1)-熊本県宇土半島基部地域の検討を進めつつある。具体的には,今年度から編集に参加した宇土市史編纂事業にも関連して,当該地域の古墳動向,とくに前期古墳関連の未報告資料の整理作業を継続して行っている。また,熊本大学文学部所蔵資料のうち,松橋町前田遺跡出土埴輪の整理作業も行っている。これらについては成果の公表に至っていないが,次年度以降の研究においてそれを模索したい。 4.いくつかの研究会との連携をはかったのも今年度の成果である。九州前方後円墳研究会と関連して熊本県出土の埴輪を集成した(『九州の埴輪その変遷と地域性』2000年5月)。この成果をもとに,私が副会長を務める熊本古墳研究会において,熊本県出土埴輪の検討会をスタートさせた。これらの活動は,本研究課題における首長系譜変動研究と一連をなすものである。
|