2000 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県宮古・八重山方言の調査研究-伊良部島佐良浜・西表島祖納を中心に-
Project/Area Number |
12610428
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内間 直仁 千葉大学, 文学部, 教授 (90009704)
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Keywords | 鼻母音 / 無声代現象 / 半無声代現象 / 西表祖納 |
Research Abstract |
研究計画に従って、平成12年度は以下のような調査研究を実施した。まず、8月の中旬から下旬にかけて、沖縄県八重山郡竹富町祖納方言の音韻、活用(動詞、形容詞)、助詞の体系調査を実施した。一部語彙調査も実施した。次に、祖納方言と深く関連する言語現象について、竹富町黒島方言、石垣市川平方言の調査も実施している。祖納方言については、今年度の調査で音韻体系、用言の活用体系、助詞の用法、親族語彙体系など、ある程度把握することが出来た。音韻(音声)についてその主な特徴を示すと、次のようになる。 1)母音はi,e,a,a,o,uの6母音で、鼻母音aが認められるのが大きな特徴である。 2)aはCSV構造の中であらわれる。[〓](子)、[〓](乳)、[〓](小さい女の子)、[〓](父)[〓](棘) 3)CV構造の中で、無声子音と[〓]に挟まれた環境では鼻母音[〓]もあらわれるが、音声的なものである。[〓](あそこ)、[〓](棚)、[〓](甘い)、[〓](髭)、[〓](ここ)、[〓](骨) 4) 無声化現象が激しい。無声子音と無声子音に挟まれた母音はほとんど無声化する。[〓](背負う)、[〓](全然)、[〓](背中) 5) 有声子音の半無声化現象もみられる。これは祖納方言の大きな特徴である。[〓](私)、[〓](兄)、[〓](妻)、[〓](体) 活用や助詞の用法においても特徴的なものがみられるが、それについてはいずれ報告書で詳しく報告したい。
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