2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610428
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Research Institution | Ryukyuu University |
Principal Investigator |
内間 直仁 琉球大学, 教育学部, 教授 (90009704)
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Keywords | 伊良部島長浜方言 / 共通語の影響 / f音 / v音 |
Research Abstract |
2001年度は伊良部島長浜方言の体系調査を行なった。初期の計画では伊良部島佐良浜を調査する予定であった。しかし佐良浜は池間島からの移住集落であることがわかった。そこで,もとの伊良部方言を知るには佐良浜以外が望ましいと判断し,長浜方言を調査対象として選定した。調査は9月5日から15日にかけて実施した。主に70代以上の話者を中心に音韻体系、活用(動詞、形容詞)体系、助詞の用法、語彙の調査を実施した。比較的もとの方言を記録することが出来た。音声面・文法面でも貴重な資料が得られた。たとえば、音声面では特徴的な[l]がきれいに残っている。[agal](上がる)、[akil](開ける)など。[f][v]も残っている。[ffa](子供)、[kafu](書く)、[avva](油)、[pav](青大将)など。しかしまた共通語の影響を大きく受けていることもわかった。もとは[u]母音であったものが共通語の影響を受けて[o]母音で発音される場合がよく観察される。[ao](青)、[sode](袖)、[pako](箱)など。同様に、もとなかった[e]母音が新しく使いはじめられているということも観察された。[teki](敵)、[teppo:](鉄砲)、[en](縁)など。このようにもとの特徴的な音声や語彙などが70代以上でも失われつつある。そのような状況にある長浜方言を記述にとどめることが出来た。若い世代ではもとの方言は次第に失われて,共通語に取って代わりつつある。その調査結果については研究成果報告書として2002年3月に公刊する予定で,現在作成を進めているところである。
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