2000 Fiscal Year Annual Research Report
東京・大阪方言の談話展開にみる接続詞の役割についての対照社会言語学的研究
Project/Area Number |
12610429
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
沖 裕子 信州大学, 人文学部, 助教授 (30214034)
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Keywords | 談話 / 最小単位 / 文字化 / 句 / 共通語 |
Research Abstract |
本年度は、年度当初の実施計画に基づき、以下のような調査・研究を行った。 (1)東京23区内に生育し、少なくとも両親のいずれかも同様である生え抜きの話者2組の自然談話を、次に述べる方法でDATおよびDVDに収録した。 (2)話者は、お互いに親しい関係にある女子大学生2人と、お互いに知己の関係にある男子大学生2人である。約1ヶ月ほどの間をおいて、それぞれの組を2回にわたって調査した。1回の調査時間は約3時間。文体差を考慮して、同じゲームを初回は友人同士で、2回目は外来の年長者である調査者とともに、実行してもらった。 (3)上記の資料のすべてを、文字化した。これらの調査および資料作成には、科研費の設備備品費、旅費、謝金を活用した。 (4)また、上記の調査・文字化に入る前に予備的な知見を得ておくため、謝金で手持ちの談話調査を文字化していった。 (5)文字化の過程でさまざまな知見を得ることができた。とくに、談話の最小単位は「文」ではなく、「句」という一種のイントネーション単位であることを発見した。「句」はもともと川上秦が発見した音調の単位であるが、これが談話の最小単位として機能していることを示したことが新たな知見である。また、談話は実時間に沿った不可逆的な展開をもち、異質な他者との交代によって進むという談話観を得、そうした談話の姿を明確に示しうる文字化の方法について具体化することができた。 (6)以上の成果をもとに、いくつかの学術論文を発表した。
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Research Products
(2 results)