2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本語表記の史的展開における宣命書きの機能とその位置付けの研究
Project/Area Number |
12610437
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
乾 善彦 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (30193569)
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Keywords | 宣命書き / 『平安遺文』 / 問注文書 / 和漢混淆文 |
Research Abstract |
1、宣命書きの資料一覧について 本年度は、平安時代から鎌倉時代の宣命書き資料の整理の一環として、『平安遺文』に見られる宣命書き資料の抽出と整理分類を行い、リストを作成した(リストの公開は次年度の最終報告に他の資料と一緒に掲載予定)。そして、これを基に、いわゆる記録体の文書と宣命書きとの関係、さらに宣命書きと漢字仮名交じり文との関係について考察を加え、また『平安遺文』を資料として利用する場合の問題点を指摘した。つまり、厳密な本文批判を必要とするものの、そこに収められている文書を利用して、和漢混淆文あるいは漢字仮名交じり文の成立を見渡すことは、ある程度可能であると思われる。また、資料批判を厳密にするためには、それぞれの文書の写真版での公開が必要である。 2、和漢混淆文と平仮名宣命書きとの関係について いわゆる記録体の日用文書は、一定の形式と個別の個性とを兼ね備えている。宣命書きを含むのもその個別の問題として捉えることが出来る。その個性の面から各文書の書記様式を見た場合、部分的宣命書きも一つの個性として一まとめに考えることもできるし、また、全体に宣命書きを採用する場合にも、文書の質による差異が認められる。後者については、「日記」と呼ばれる文書の一群や、問注文書の問いと答えの形式とにおいて、具体的な様相を見ることができる。たとえば、問注文書において問いにはいわゆる変体漢文を使用し、答えに全体的な宣命書きを用いるのは、日用文書の形式が固定化していく中での文体形成のひとつのあり方であったと考えられるのである。 以上の二点において、『平安遺文』の宣命書き文献の利用方法の方向性が明らかになった。
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Research Products
(2 results)