2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 宏 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (30193113)
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Keywords | 太宰治 / 原稿 / 翻刻 |
Research Abstract |
(1)平成12年11月、今回の研究計画が日本近代文学館(駒場)の特別プロジェクトとして、正式に了承されたことを受け、平成13年11月までの一年間に10作品の原稿調査を行う許可を得、研究補助者と共に翻刻作業を行った。館所蔵の肉筆資料の特別調査が認められた初めてのケースとして、今後の共同研究(科研等)に道を開くきっかけになったものと確信する。このうち9作品に関してはすでに翻刻のFD化を完了し、残り1作品に関しても現在作業が進行中である。また、次の段階として、平成14年11月までにさらに12作品の調査を行う申請をし、許可を得ることができた。ほぼ当初の予定どおりに作業が進行中である。 (2)五月にジュネーブ大、パリ大、東京大の合同シンポジウムが開催され、日本側のパネラーの一人として参加し、太宰治の「人間失格」の草稿について研究報告を行った。その成果は仏語で刊行の予定である。 (3)青森県立近代文学観で太宰治の晩年の執筆手帖が新資料として新たに公開されることになり、その調査を依頼された。鋭意翻刻作業を進め、成果は同館八月刊行の『資料輯第二号 太宰治・晩年の執筆メモ』に結実、「解説」40枚(400字詰原稿用紙換算)を執筆した。最終報告書に全貌の翻刻成果を示す予定である。新聞報道など反響があり、研究の進展に大きく資するところがあったと考える。 以上、二年目においても、充分な実績を上げることができたものと確信している。
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