2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610446
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 千鶴 名古屋大学, 文学研究科, 助手 (50313979)
|
Keywords | 女訓 / 女訓抄 / 説話 / 御伽草子 / 仮名草子 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 1、中世から近世にかけて成立した「女訓書」の系譜をたどり、その全体像を同時代の文学的営為とあわせて通観することで、研究上必須と考えられる視座を得た。すなわち、「女訓書」の定義を問い直すことで、従来のような個人や時代、あるいは限定されたジャンル上での、閉鎖的かつ単線的な捉え方ではなく、多面的かつ重層的な営為であると認識することで、ジャンルの境界を容易に乗り越え、相互に影響を与えあう文学的営為としての存在意義を再認識した。 2、1の認識のもとに、他ジャンルとの影響関係を整理し、その諸相を明らかにする方法を考えた。具体的には、(1)女訓書の代表的作品と言える『女訓抄』諸本のテキストを手に入れ、(2)それら本文を翻刻し、(3)諸本中に見られる説話の内容を整理し、(4)他ジャンル(仏教説話集・狭義の女訓書・御伽草子・仮名草子等)の中から、交渉を持つと考えられる作品を選定し、(5)その影響関係を容易に確認できる一覧表を作成中である。 3、なお、1で得た認識、および、2で行った本文翻刻と他作品との影響関係については、平成14年度、三弥井書店より刊行予定の『女訓書集成』において、本文紹介および解題解説として発表できるよう作業を継続する。
|
Research Products
(1 results)