2000 Fiscal Year Annual Research Report
日中文化交流の諸相を宋・元版仏書類の受容の中に探り,説話研究に資する研究
Project/Area Number |
12610453
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
牧野 和夫 実践女子大学, 文学部, 教授 (70123081)
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Keywords | 宋版 / 補刻 / 刻工 / 了行 / 頼賢 / 東寺蔵宋版一切経 / 本源寺蔵宋版一切経 |
Research Abstract |
今年度は主に宋版一切経の調査を進めることで得られた資料から,補刻葉の「実態」を追求した。"補刻"の実態は,複雑で,特に東禅寺版の場合は刷印時期を異にした厖大な量の一切経が,我国に少くとも四セットは残存しており、その詳細について各々の悉皆調査にまつところである。本年度は,本源寺蔵(三聖寺旧蔵)の東禅寺・開元寺版(その他)混合蔵の具体的な調査に着手,500帖ほどの調査を了えた。又,東寺蔵東禅寺・開元寺版混合蔵の,サンプル的な調査は,恒例の毎夏の調査時等を活用して行ない,興味深い調査結果を得られたが,やはり,本格的な悉皆調査の必要を痛感した。 以上の調査過程で解明できた幾つかの問題は,各々口頭発表や学会誌掲載論文にまとめ公表した。補刻葉に認められる日本人僧の関与に関しては,「千葉寺了行」の文化的・政治的環境(とくに九条家)に及ぶ推測が可能となり、野口実氏の千葉氏研究のアプローチをも得て,中山法華経寺日蓮白筆聖教類紙背文書中の人物に比定しうる点について探求した。 更に,中国の仏書類舶載受容の場として機能した「寺院システム」の解明は必須であり,柏原成菩提院を始めとした,諸寺院に訪書した。
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Research Products
(2 results)