2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610461
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
キャンベル ロバート 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50210844)
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Keywords | 明治時代 / 出版史 / 明治文学 / メディア研究 / 岩倉使節 / 米欧回覧実記 / 久米邦武 / 明治期新聞 |
Research Abstract |
本年度は、出版に関する明治時代の原史料調査・複写収集およびその整理に終始した。 昨年度に引き続き、明治前期(20年以前)の出版報道記事を東京とその周辺の大新聞(『朝野新聞』、『郵便報知新聞』、『横浜毎日新聞』)と小新聞(『読売新聞』)から検出・情報化し、年代順に整理した。とくに明治15年以降20年までの間に予約出版によって刊行販売された書目について、それぞれの予約契約の詳細を複数の記事から拾い出し、比較できるように整理した。10年代の新聞と文学について、研究会を発足し、来年度始めに〔アジアの新聞小説〕をテーマとした座談会を実施発表できるように準備を重ねてきた。 調査を進めるなかで、その全貌が未紹介だった第一次史料を閲覧する機会を得た。国立公文書館所蔵『自明治九年至同十六年・雑書綴込刊本に係』(1冊、未整理)である。明治九年から十六年にかけて、日本政府が出資して東京の数名の出版社に用命出版させた図書について、太政官各部局の間、さらに政府と出版社との間に交わされた文書を、年代順に綴じ合わせた記録である。太政官時代の基本史料である『公文録』と『太政類典』に含まれない文書が大半で、維新期から10年代の日本出版史を考える上ではきわめて重要な記録といえよう。この記録から『米欧回覧実記』関連史料と、『公文録』と『太政文典』に所載されるそれらを翻字校訂し、「『米欧回覧実記』出版のいきさつ」として発表することができた。 出版社の個別調査では、『米欧回覧実記』の版元でもある東京・博聞社の出版書目を、新聞記事と実物調査に基づいて作成した。この作業を来年度も続行したいと考えている。
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[Publications] ロバート キャンベル: "米欧回覧実記出版のいきさつ"明治の出版文化. 211-242 (2002)
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[Publications] ロバート キャンベル編, 他4名: "座談会明治文学史・雅俊文芸の解体"文学. 増刊号. 1-46 (2001)
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[Publications] ロバート キャンベル: "錯綜する山水"文学. 増刊号. 103-108 (2002)
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[Publications] ロバート キャンベル編, 他4人: "座談会明治文学史・文化変貌論"文学. 3巻・1号. 90-112 (2002)