2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610474
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
赤井 益久 国学院大学, 文学部, 教授 (10175763)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
范 建明 電気通信大学, 外国人教師
佐藤 正光 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60272621)
呉 鴻春 国学院大学, 文学部, 助教授 (70317345)
市川 清 昭和女子大学, 文学部, 講師 (70327948)
|
Keywords | 「唐音」 / 「宋調」 / 「唐宋詩の争い」 / 「神韻詩派」 / 「格調詩派」 / 「性霊詩派」 / 『唐詩三百首注疏』 / 施注事業 |
Research Abstract |
宋元以降、中国詩歌の歴史が「唐音」「宋調」をいかに評価するかの視点を軸に展開し、所謂「唐宋詩の争い」は近世近代とりわけ清朝の学術や文学状況を理解する重要なテーマであることを、一つは文学理論、他一つは唐詩の施注事業を通して跡付けした。前者については、各時代の唐宋詩への評価であると同時に、それぞれの文学の在り方を充分に伺うに足りる視座であることを、主要な詩派「神韻詩派」「格調詩派」「性霊詩派」および文学評論の言説のなかに確認した。後者については、宋以降の古典的な注に加え、例えば李白の王注、杜甫の仇注、王維の趙注、李賀の三家注、李商隠の馮注などは、学問的蓄積の集成であるばかりではなく、往時の学術の趨勢等から、「実事求是」の側面がとりわけ色濃く反映している。一方、同時期に編纂されつつあった、唐詩の総集である王堯瞿注『唐詩合解』、章燮注『唐詩三百首注疏』、王俊臣等箋注『唐詩鼓吹評注』などには、いわば名物考証とは別の作品そのものを解釈しようとする姿勢が顕著に認められる。これらは、作詩人口の増大による平易性の追及、詩歌作品の解釈を通した啓蒙的役割、従前の考証的な施注に対する不満などがあって、新たな「文学」に即した読解の必要性から編まれたと考えられる。研究史を概観すべく、『清朝における唐詩研究文献目録』(稿本)を編集した。来年度に向け、整理改訂して行く予定である。
|
Research Products
(1 results)