2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610476
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小田 友弥 山形大学, 教育学部, 教授 (20085468)
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Keywords | ロマン主義 / 自然美 / 崇高 / ピクチャレスク / 旅行記 / 湖水地方 |
Research Abstract |
平成12年度は、18世紀中葉から1810年頃までに出版された湖水地方旅行記や案内書の記述を、旅行目的や範囲、取り上げられる地点とその描写の特徴などの項目にわけて整理し、ワーズワスの『湖水案内』が誕生する以前の、湖水地方についての論じ方の特色の把握につとめた。また『湖水案内』に着手するまでのワーズワスの湖水地方についての考え方を、彼の詩や書簡に基づき調査し、案内書などのものと比較した。その結果えられた大きな成果の一つに、この地方の小自作農ステイツマンに関するものがある。ワーズワスは、湖水地方にはステイツマンが先祖伝来の地で清貧ながら自主独立の生活を維持していると力説している。しかしながら、「ステイツマン」という語は1790年以前の案内書や歴史書には見られず、ワーズワスがグラスミアに移住した1790年代後半に急速に使用されるようになっている。このことは、ステイツマンのものとされるような生き方にイギリスでの関心の高まりを示唆しており、この高まりがワーズワスの『湖水案内』や詩の受容を理解する鍵となると思われるので、重点的に研究していきたい。 平成12年9月には二つの目的で湖水地方を訪れた。一つは図書館や書店で研究資料を収集することで、Thomas West, A Guide to the Lakes,9^<th> ed.(1807),J.Budworth, A Fortnight's Ramble to the Lakes,3^<rd> ed.(1810),Papers Letters and Journals of William Pearson(1863)などの、湖水地方やワーズワスを研究する上で極めて貴重な文献をはじめとして、多くの資料を入手できた。もう一つの目的は、18世紀には有名であったが現在では忘れられかけている地点を調査することで、ウィンダミアの第1眺望点やダンメイルレイズのケルンなどの現状を確認できた。以上は、今後本研究を遂行するうえで極めて有益なものであった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小田友弥: "初期の旅行記に見られる湖水地方描写"山形英語研究. 第6号. (2001)
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[Publications] Tomoya ODA: "Warner's Unrecognized Visit to Wordsworth in July 1801"Notes and Queries. June 2001. (2001)
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[Publications] Tomoya ODA: "The 'Minstrel' Episode in Book II of The Yrelude and an Amusement of the Tourists to the Lakes"Notes and Queries. June 2001. (2001)