2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610490
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
服部 範子 三重大学, 人文学部, 助教授 (00198764)
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Keywords | 強勢 / 強勢変異形 / 強勢移動 / 音韻 / リズム規則 |
Research Abstract |
今年度は、現代英語にみられる強勢変異形は文脈に依存して起こり、リズム的制約だけでなく、統語構造にも影響を受けるという仮説に立って研究を進めた。そして、その研究成果をイギリスで開催された第3回英国言語変異会議で口頭発表し、加筆修正後、論文として大学の研究誌で公刊した。 現代イギリス英語において観察される強勢変異形の出現について、強勢を考察する際の典型的な位置である「文の最後の内容語」以外にも単語が現れる例を、現代英語のデータベースから使用頻度も考慮した上で抜き出し、各位置での強勢についてイギリス英語の母語話者に例文を提示してインフォーマントチェックを行った。その結果、強勢衝突を避けるために強勢移動が行われてしかるべき位置でも、移動が見られない事例も複数観察され、強勢変異形の出現は「好韻律性」(eurhythmy)といった音韻的要因だけに左右されないことが確認された。 音韻的制約のランキングのみで強勢変異を説明することは不十分であり、変異に関与する統語的要因の考察を進めた結果、限定用法の形容詞の場合、その形容詞を含む名詞句の複雑性と構造が変異の現れ方に影響を及ぼすことが明らかになった。とりわけ、右枝分かれ構造をもつ名詞句は、変異の点からみて革新形とみられる型をとる傾向が強いことが指摘できた。音韻的要因と統語的要因の相互作用を測るため、今後は変異を示す他の形容詞についてさらに多くの英語母語話者にインフォーマントチェックを行い、来年度の研究完結に向けて変異理論の整備を行う。
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Research Products
(1 results)