2001 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ・コーパスを用いた英語および日本語のレトリックの総合研究
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12610491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 文子 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (70213866)
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Keywords | レトリック / 認知 / 知覚 / 転移修飾語 / 共感覚比喩 / 意味拡張 / 文体論 / 汎時的研究 |
Research Abstract |
本研究は、英語及び日本語に見られるレトリックの意味について、人間の認知のメカニズムに着目しながら総合的に解明することを目標とする。平成13年度は、昨年度に引き続き、松尾芭蕉とその門下の俳人たちによる連句に着目し、その談話性に対してレトリックが果たす役割について研究した。また、アメリカの詩人Edgar Allan Poeの詩に頻出する転移修飾語と呼ばれるレトリックについて考察した論文を発表した。 共同研究「言語文化レトリック研究会」を主催した。大阪大学言語文化部の教官3名、同言語文化研究科大学院生6名、計9名より構成され、最新の研究動向、重要文献を相互に紹介し、合評・討議を通して今後のレトリック研究の展望を図るというものである。この研究会は、本研究と深い関連をもち、レトリック研究そのものの発展にも寄与すること、また、大学院生の指導をも目的としている。 本研究は、上記研究会のメンバーでもある渡辺秀樹助教授が大阪大学言語文化部において主催する共同研究プロジェクト『英語文体論の方法と射程』と連動するものである。本プロジェクトでは、Poeの詩の転移修飾語に関する上記研究を発表するとともに、知覚・認知関連語藁の意味拡張に関する近年の3研究(Sweetser (1990), Evans & Wilkins (2000), Fortescue (2001))について解説した。またUllmann (1951)の共感覚比喩に関する汎時的研究について解説・批評を行った。言語文化研究科大学院生竹田聖基氏にも本プロジェクトへの参加を勧め、研究論文の執筆に関わる指導を行った。 本研究の成果は、まず『シリーズ認知言語学入門第5巻認知語用論』(大修館書店、近刊)に発表される。続いて大阪大学・トゥルク大学学術交流プログラムの共同研究論文集において論文"Figurative Language and Cognition"の形で発表される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大森文子: "連句における談話とレトリック"言語文化研究(大阪大学言語文化部). 28. 229-248 (2002)
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[Publications] 大森文子: "参照点のダイナミクス:Poeの詩の転移修飾語をめぐって"英語文体論の方法と射程(言語文化共同プロジェクト2001). 47-54 (2002)
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[Publications] 大森文子: "Ullmann (1951)の共感覚比喩研究について"英語文体論の方法と射程(言語文化共同プロジェクト2001). 39-41 (2002)
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[Publications] 大森文子: "知覚・認知関連語彙の意味拡張に関する三研究を読む"英語文体論の方法と射程(言語文化共同プロジェクト2001). 44-46 (2002)
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[Publications] 大堀壽夫 他: "シリーズ認知言語学入門 第5巻 認知語用論"大修館書店(印刷中). (2002)