2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610495
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小野 功生 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (80194588)
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Keywords | ジョン・ミルトン / 共和主義 / 出版文化 / 公共圏 / 出版検閲 / 帝国主義 / 反教皇主義 / ロータ・クラブ |
Research Abstract |
本年度の研究は、ジョン・ミルトンの共和主義思想をこれまでの古典共和主義の文脈から解き放ち、さらに幅広い17世紀の思想情況のなかに置いてその特徴を特定してきた昨年度の研究を引き継いで、主として当時の出版文化および出版検閲と共和主義思想の関連に焦点を合わせて考察した。 一方で、共和主義と帝国主義的発展との関連を考えるために、反カトリック思想の展開とプロテスタント国家意識の成長とを関連づけて考察した。とりわけ、1641年のアイルランド反乱、さらにクロムウェルのアイルランド出兵が、共和主義の思想とどのように結びついていたのかを、当時の出版検閲の問題と関連づけて、国際学会において発表した。 ○Milton's Observations Upon the Articles of Peace and the Nascent Public Sphere, The Seventh International Milton Symposium (Beaufort, SC, USA : University of South Carolina, Beaufort, 2002.6) 他方で、1620年代に加熱する国際ニュース報道から説き起こして、内乱、ロンドン大火、それに1678年来の教皇主義者陰謀事件と王位継承排除危機と、17世紀をとおしてイングランドが感じていた危機意識と、それから生まれた反カトリック言説をたどり、そのこととハーバーマス流の「公共圏」の誕生との関連に注目することによって、17世紀末に誕生したとされる「公共圏」がかならずしも理性的な討論の空間ではなく、そのなかで共和主義思想も政争の具としてさまざまな陣営から利用されていた様態を、たとえばハリントンのロータ・クラブが王政復古期にどのように表象されたかに注目して解明した。その成果は、雑誌論文および単行論集において公表するとともに、以下の口頭発表においても、出版検閲の問題と関連づけて論じた ○情報都市の言説戦略-サー・ロジャー・レストレインジとその周辺,十七世紀英文学会関西支部第148回例会(大阪府・YMCA会館,2002.9)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小野 功生: "ニュース売ります-扇情的ジャーナリズムとプロテスタント国家-"英語青年. 148巻・2号. 98-100 (2002)
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[Publications] 小野 功生: "自然神秘主義詩人の光と闇-ヘンリー・ヴォーンの生きた十七世紀"幻想文学. 65号. 12-17 (2002)
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[Publications] 佐々木和貴責任編集: "演劇都市はパンドラの厘を開けるか-初期近代イギリス表象文化アーカイヴ2"ありな書房. 300 (2002)