2000 Fiscal Year Annual Research Report
音声表示と調音システムとのインターフェイスについての研究
Project/Area Number |
12610501
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
高橋 幸雄 都留文科大学, 文学部, 教授 (30154876)
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Keywords | 音韻論 / 音声学 / 極小性 / 音節 / 自律分節音韻論 |
Research Abstract |
音節形成の過程を異音成員からの選択的な過程と見なすことで、従来の研究において規則として設定されていたものが必要でなくなるという可能性が生ずる。英語の音韻過程には、自律分節的な拡張過程の具現と見なすことができる一連のケースが存在する。拡張の方向によってそれらは進行的なものと逆行的なものとの二つに大別できる。これらの選択的な過程の導入は自律分節的な拡張過程の説明に対して大きな簡略化をもたらす。とくに自律分節的な拡張過程は次のような簡略化された形式に帰着する可能性がある。 (1)Spread α 方向性は左のみであり、とくに方向についての指定を必要としない。 右側への拡張と見なされてきた事例は音節構造についての一般化から説明を与えることができる。ここでの一般化では、「音節の中心から周辺に向かい『きこえ』は順次降下する」というSonority Sequencing Generalization(SSG)が想定されている。一連の選択的な過程はSSGの一部を構成すると考えることも可能かもしれない。これによってp[l^〓]easeにおいて下記のαよりはβが選ばれるというものである。 (2)「きこえ」の順次的な降下と分節音の選択 α[p^h]+[l] β[p^h]+[l^〓] αでの「きこえ」の変化は、βでの「きこえ」の変化よりも大きい。というのもαにおいては無声帯気音から有声自鳴音へと推移し、βにおいては無声帯気音から無声自鳴音へと推移しているからである。βにおいては有声性の変化はないという点が決定的である。
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[Publications] 高橋幸雄: "一般音韻論の極小化(2)"都留文科大学研究紀要. 54. (2001)
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[Publications] 高橋幸雄: "Some Consequences of a Phonetics-based Approach to Syllable"都留文科大学大学院紀要. 5. (2001)
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[Publications] 高橋幸雄: "音声と音韻"朝倉書店. (2001)