2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代英文学におけるディストピアの表象とその批評機能をめぐって
Project/Area Number |
12610504
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
川端 康雄 十文字学園女子大学, 社会情報学部, 教授 (80214683)
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Keywords | ディストピア / 反ユートピア / ユートピア / オーウェル / 全体主義 |
Research Abstract |
従来、ユートピア思想史の文脈で、その一変種として扱われていた「ディストピア」を単独に取り上げ、近年のフェミニズム、ポストコロニアリズム、カルチュラル・スタディーズなどの研究成果を援用しつつ、「ディストピア文学」の特質をより多角的に考察した。特に、「ディストピア」を描く作品群がほぼ例外なく言語的問題に関心を示すことに注目し、バフチンらの言語理論をふまえて「ディストピア」の言語の諸特徴を考察した。さらに、20世紀の最後の四半世紀において、「ポストモダン」小説や「ヤング・アダルト」小説にまで「ディストピア」が扱われている現状を概観し、この主題がきわめて今日的な意義と有用性を備えていることを確認した。 21世紀を迎えた現代においては、テクノロジーの飛躍的発展が人間の制御能力を超える地点に至ってしまったという器具が強く自覚され、「ディストピア」を描く文学表現がますますそのアクチュアリティをもつものとなっている。平成12年度の準備作業をふまえて、13年度においては、主として英米で発表された「ディストピア」小説の代表的な作品群を具体的に取り上げた。作品名を一部列挙するとこうである。George Orwell, Animal Farm, Nineteen Eighty-Four ; Katharine Burdekin, Swastika Night ; Robert Cormier, The Chocolate Warと。これらの作品を比較検討し、「ディストピア」小説に共通して社会批判の機能が備わっていること、それがこのジャンルの特徴であることを明らかにした。
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[Publications] 川端康雄: "ディストピアの言語学"週刊朝日百科. 72. 36-39 (2000)
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[Publications] 川端康雄: "ラスキンのフィリンツェ案内"ラスキン文庫たより. 40. 5-7 (2001)
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[Publications] 川端康雄: "ロバート・コーミアの最初の死のあとで"デジタル月刊百科. 3月号. 1-14 (2001)
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[Publications] 川端康雄, 磯谷麗子: "バーン=ジョーンズ、ラスキンとイタリアへ"社会情報論叢. 5. 129-196 (2001)
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[Publications] 川端康雄: "ラスキン・イタリア・バーン=ジョーンズ"ラスキン文庫より. 42. 9-13 (2002)